請負人の担保責任

請負人の担保責任


民法632条(請負契約の意味)


請負は、当事者の一方(請負人)が、ある仕事を完成することを
約束し、相手方(注文者)が、その仕事の結果に対して、これに報
酬を与えることを約することによりてその効力を生ず。


◆解説
この場合の仕事とは、注文住宅を完成させることを言います。
請負人(=施工業者)は仕事を完成させる義務があり、注文者
(=施主)は適当な報酬(=代金)を支払わなくてはなりません。
その約束を取り交わすことを「契約」といい、契約書によってその
効力が生じることになります。


民法634条(請負人の担保責任)


1・仕事の目的物に瑕疵(欠陥)あるときは、注文者は、請負人に
対し、相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することを得。
ただし、瑕疵が重要ならざる場合において、その修補が過分の費用
を要する時は、この限りにあらず。

2・注文者は、瑕疵の修補に代えまたはその修補とともに損害賠償
の請求をなすことを得。この場合においては、第533条(同時履
行の抗弁権)の規定を準用す。


◆解説
1・この場合の仕事の目的物とは、契約を交わした注文住宅のこと
を指します。完成した注文住宅に瑕疵(欠陥)があった場合、注文
者は欠陥個所を修復するよう要求ができます。

「ただし〜」の部分の判断はケースバイケースなのですが、例えば
フローリングの見えにくい場所に小さな傷がついていたとき、これ
は明らかに工事のときについたものでしょうが、床全面を貼り替え
るといった過大な要求は行えません。

2・注文者は、欠陥部分の修復をあきらめる代わりに損害賠償の
請求をしても構いません。1・の例えですが、業者の過失により
フローリングに傷が付いたとします。でも、生活していく上には何
の不便もないし、またいずれ使用の段階で傷ついていくかもしれな
い…という理解ある注文者でしたら、修復を求めずに損害賠償で
収まるでしょう。

また逆に、注文者がこだわりぬいた特別な箇所で瑕疵があった場合
ただ修復をすれば済むという問題ではありません。修復をされた上
さらに損害賠償を請求することも場合によっては可能です。


民法635条(請負人の担保責任)


仕事の目的物に瑕疵ありて、これがために契約をなしたる目的を達
することあたわざるときは、注文者は、契約の解除をなすことを得。
ただし、建物その他土地の工作物については、この限りにあらず。


◆解説
欠陥住宅訴訟において、解釈の上で大きな問題となる条文です。
要するに完成物件に瑕疵があり、契約をまっとうできていないとき
には、注文者から契約の解除してもよいとされています。
しかし、ただし書きに建物その他の土地の工作物の場合は、この
限りでない。とされています。

注文者のための条文のようですが、じつはこれは建築業者の方を
保護するための規定なのです。


民法636条(請負人の担保責任)


前2条(634条、635条)の規定は、仕事の目的物の瑕疵が
注文者より供したる材料の性質または注文者の与えたる指図に
よりて生じたるときは、これを適用せず。ただし、請負人が、その
材料または指図の不適当なることを知りてこれを告げざりしときは
この限りにあらず。


◆解説
注文者には、次の権利が得られます。
634条…修補請求権、損害賠償請求権
635条…契約解除権
(ただし建物を除く、とあるので解釈が非常に難しいのですが)

これについては、注文者側がの指示があった場合には、適用されま
せん。注文者が、「大きい窓が欲しい…」というので、十分な打ち
合わせをした上で施工したら、とても重くて使い勝手が悪かった、
日差しが入りすぎて室内がとても暑かった…などというトラブルは
数多くあります。

ただし、請負人はその指図が不適当だということを分かっていた
ならば説明する責任があります。プロなのですから。
注文者が言ったことに対する説明がなかった場合に限り、注文者は
以上の二つの権利を得ることができます。


民法637条(請負人の担保責任の存続期間)


1・前3条(634条、635条、636条)に定めたる瑕疵修補
または損害賠償の請求および契約の解除は、仕事の目的物を引き渡
したるときより1年内にこれをなすことを要す。
2・仕事の目的物の引き渡しを要せざる場合においては、前項の
期間は仕事終了のときよりこれを起算す。


◆解説
注文者が、補修や損害賠償の請求ができるのは、引き渡しから1年
以内とされています。
引き渡しの日がはっきり設定されていないような、軽微な工事の
場合、仕事終了時から1年以内とします。


民法638条(請負人の担保責任の存続期間)


1・土地の工作物の請負人は、その工作物または地盤の瑕疵につい
ては、引き渡し後の5年間、その担保の責に任ず。
ただし、この期間は、石造り、土造り、煉瓦造りまたは金属造りの
工作物については、これを10年とす。

2・工作物が前項の瑕疵によりて滅失または毀損のときより1年内に、
第634条の権利を行使することを要す。


◆解説
637条で、請求期間は1年以内と決められていますが、建物では
ない土地の工作物や地盤そのものの瑕疵については5年間または
10年間、請求の権利があります。

土地の工作物とは土地に接着して人工的に造成されたもので、道路
・橋・堤防・給水タンク・広告塔・電柱・エスカレーター・遊園地
施設・鉄道の軌道施設などなど建物以外のいろいろなものです。
住宅ではあまり考えられないのですが、塀・擁壁などは工作物です。


民法639条(特約による存続期間の伸長)


第637条および前条第1項の期間は、時効期間内に限り、契約を
持ってこれを伸長することを得。


◆解説
住宅の場合、請負人の担保責任は引き渡しから1年間、工作物や
地盤に関しては5年間と決められていますが、注文者と請負人が契
約を交わした場合10年まで延長しておくことができます。

逆に言うと、住宅のなかでも瑕疵というのは1年内には見つから
ないものがほとんどなので、契約書の中で、担保責任の延長を記載
されていることを確認しておいた方が良いということです。

民法640条(担保責任を負わない特約)


請負人は、第634条および第635条に定めたる担保の責任を
負わせる旨を特約したるときといえども、その知りて告げざりし
事実については、その責を免るることを得ず。


◆解説
もしも契約書のなかで、請負人が責任を負わないという特約が付い
ていたとします。こんなふうに簡単な言葉で書かれていたら、注文
者もあらかじめそんな特約はつけないでしょうが…。

契約書とは特に難しい言葉でつづられているものですから、
注文者の知らないうちに、こんな特約がつけられている可能性も
あるのです。

しかし、民法では、注文者が知らなかった場合は、瑕疵担保責任を
のがれることはできないように決められています。


民法641条(注文者の解除権)


請負人が仕事を完成せざる間、注文者は何時にても、損害を賠償して、
契約の解除をなすことを得。


◆解説
注文者(=施主)は、工事の完了を契約終了とするので、仕事が
完成していない間だったら、いつでも請負契約を解除することが
できます。ただし、請負人に対して起こる損害は賠償しなければ
なりません。

注文者にとって、資金繰りや計画変更などで状況が変わることも
あり、必要がなくなった物件を完成させることよりも、中止する方
が適当だと判断される場合もあるからです。

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